公益財団法人 青井奨学会
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創立者 青井忠治について
創立者 青井忠治について
すべて汝のことなれ
私の人生観の一つの大きなもととなったことは、私が富山県立高岡工芸高校在学中に起こりました。
ある日、伊藤宣良校長が、黒板に、“すべて汝がことなれ”と書き、この言葉を生んだアメリカの鉄鋼王アンドリュー・カーネギー氏の若かりしときの努力・苦労と、晩年、世界平和と社会教育のためカーネギー財団を設立されたことを訓話されました。純情な私は身が引き締まる思いでこれを聞き、“すべて汝がことなれ”の文字は私の脳裡へ深く焼きつけられたのでした。
18歳で上京後、今までの長い間、私は故郷の立山に登るように、一歩一歩踏みしめながら登って来ました。 けわしい急坂もありました。もうここで引返そうと思ったこともあり、もう一歩も足が前へ進まないような時もありました。しかし、歩き続けて来ました。一緒について来られなくて落伍したものもたくさんおりました。
人間の表裏、いろいろな面もたくさん見せられました。時には、進む足を後ろから引張られたこともありました。 大きな岩を乗り越える難所に身をさらしたこともありました。商売そのものが大きな危険であり、賭け事であったかも知れません。そして、私はこれに全身を打ち込んでやってきました。だから、“事業はそっくりそのまま自分の生命であったのです。生命を賭ければ何でもできるのだ。生命を賭けるとは何という大胆なことであろう。何と張り合いのあることであろう”と肌身で感じ、そこから何くそという勇気がいつも湧いてきた来たものでした。
他人のために働くのはバカらしいと考えがちの人もいますが、私は一度もそういうことを考えたことはありません。働くことが皆自分の身につくことである、自分のためであると考えて、今日までやって来ました。 そのうちに、自分の境地が開けて、多くの人も支持してくれて、今の私がここにあるのです。
“すべて汝がことなれ”が私の人生を育て、そして、丸井を今日まで築きあげてきたと申せましょう。
私は18歳で社会に巣立ってからの50余年の人生経験から、つまるところ、各人の社会観・人生観は各人が自分の意志でつくりあげてゆくものであって、親や、他人やマスコミにつくってもらうものではないことを、声を大にして申し上げたいのです。
(「青井奨学会報No.2」より抜粋)

すべて汝がことなれ